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【東京大学 豊田啓介氏】物理世界と情報空間の融合がもたらす新しい都市と産業の未来――豊田啓介氏が語る「コモングラウンド」の実装と空間AIの真価

執筆者の写真: 小宮 昌人 / Komiya Masahito
小宮 昌人 / Komiya Masahito
1 時間前
読了時間: 31分

はじめに

人工知能技術の急速な進化とメタバース領域の台頭、さらにはフィジカルAIや空間AIと呼ばれる新たな概念の爆発的な広がりに伴い、人類が活動する空間のあり方は根本的な変革期を迎えている。これまで現実の物理世界とコンピューター内の情報空間は、画面という薄いディスプレイや個別のファイルフォーマットによって隔てられてきた。しかし、自動運転車やロボット、各種センサー群、そして高度なAIエージェントが現実空間に溢れ出す現代において、物理領域と情報領域をどのようにシームレスに接続し、相互に作用させるかという問いは、社会インフラ全体を揺るがす最重要課題となっている。


この課題に対して、早くから建築、都市、情報科学の境界を縦横無尽に横断しながら独自の理論と実践を展開してきたのが、東京大学生産技術研究所 特任教授であり、建築設計事務所NOIZの設立パートナーを務め、一般社団法人Metaverse Japan理事の豊田啓介氏である。豊田氏が長年にわたり研究と実装を推し進めてきた「コモングラウンド(Common Ground)」という概念は、単なるデジタルツインや3D都市モデルの枠を超え、人間とAI、ロボットが共通して物理環境を認識し、協調して動作するための基盤的な開空間記述手法として世界的な注目を集めている。


本稿では、豊田氏へのインタビューに基づき、コモングラウンドの誕生背景から、大阪・関西万博での試み、株式会社化および一般社団法人化による社会実装の加速度的な深化、さらには世間で語られる空間AIとは一線を画す「環境側に宿るAI」の真髄、そして将来の「ラージ・ビヘイビア・モデル(LBM)」構想に至るまで、その全貌を網羅的かつ詳細に解き明かしていく。



東京大学生産技術研究所 特任教授

建築設計事務所NOIZ

一般社団法人Metaverse Japan理事 豊田啓介氏


第一章:建築とデジタルの交差点から生まれた研究者×実践者――豊田啓介氏の二つの輪郭と問題意識

豊田啓介氏の活動を理解する上で不可欠なのは、同氏が「建築設計事務所NOIZの設立パートナー」という実務家の顔と、「東京大学生産技術研究所の教授」というアカデミアの研究者の顔という、二つの領域を完全に地続きとして行き来している点である。


図:東京大学 豊田研究室(出所:https://www.commonground.iis.u-tokyo.ac.jp/)


豊田氏のキャリアの軸足は、自ら立ち上げた建築設計事務所NOIZにある。NOIZは設立当初から、最新のデジタル技術を活用することで建築の設計手法や施工方法がどのように変化するか、さらには完成した建築の使われ方や価値そのものをどのように変革できるかという先進的な探求を続けてきた。しかし、建築におけるデジタルの活用可能性を深く掘り下げていくにつれ、その探求は従来の「建築設計事務所」という枠組みを大きく踏み出さざるを得なくなった。建築業界内部にとどまらない、より広い社会的意義や、AI・通信・ロボティクスといった他産業との高度な連携、そして基盤となる学術的研究の必要性が急速に持ち上がってきたためである。


そのような課題意識のもとで活動を深めていた豊田氏に対して、東京大学生産技術研究所からの声がけがあり、同研究所に研究室を開設する運びとなった。これにより、豊田氏は大学というアカデミアの立場から、空間や建築におけるデジタル技術の記述手法を専門的かつ体系的に研究する機会を得ることになった。


同氏の中では、この二つの立場は完全に不可分な一連のプロセスとして機能している。NOIZでの具体的なデザインや社会実装(インプレメンテーション)の現場から汲み上げた課題や着想を、大学での研究を通じて背景理論や技術体系として高め、それを再び社会全体に役立てるためにフィードバックしていくという循環構造が形成されているのである。


豊田氏が建築とデジタルの接点を探る中で抱いた最大の疑問は、建築業界や都市開発の分野で進むデジタルトランスフォーメーション(DX)のあり方に対するものであった。従来の建築DXと呼ばれる試みの多くは、建築設計者や施工者の作業効率化、作業工程のデジタル化といった「建築業界内部の、建築業界による、建築業界のための閉じたDX」に終始しがちであった。


しかし、本来目指すべきデジタル化とは、建築という物理的な構造物が持つデータや空間の記述が、AI産業や自動運転産業、ロボティクス産業といった外部の他産業に対してどのような新しい価値を提供できるかという視点に立つべきである。さらに現実の都市空間を見渡した際、既存の建築業界で用いられているBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCAD、あるいはGIS(地理情報システム)といったツールは、極めて静的なデータを扱うために最適化されたものであり、多種多様なAIエージェントや人間、ロボットが複雑に交錯するマルチエージェントベースの動的な現実世界をリアルタイムに記述・制御するには全く不十分であるという実務上の強い危機感が存在していた。この静的な建築・都市データと、動的な現実世界のインタラクションとの間に存在する大きなギャップこそが、豊田氏をコモングラウンド研究へと向かわせた原動力となったのである。


第二章:なぜ今、物理領域と情報領域の接合が不可欠なのか――コモングラウンドの根本思想

スマートシティやデジタルツインという言葉が喧伝されるようになって久しいが、それらの定義や目指すべきゴールは今なお曖昧なまま議論されることが少なくない。豊田氏は数多くのプロジェクトやスマートシティ関連の検討に関わる中で、情報技術と物理領域が相互にインタラクション(相互作用)する汎用の基盤が整備されなければ、情報単体では社会に対して真の価値を生み出せないという強い確信を得るに至った。


近年のテクノロジー業界では、メタバースに代表されるような、コンピューター内の情報空間だけに閉じたバーチャル空間の記述やコミュニケーションが急速に脚光を浴びた。豊田氏は、そうした情報空間に閉じた領域の進化自体は必要な過程であったと評価しつつも、一貫して「物理領域との連携を欠いた情報単体では、社会的な価値の創出には限界がある」と主張し続けている。なぜなら、人類が歴史を通じて築き上げてきた文化、経済、コミュニティ、生物学的な営みといった社会的な価値の蓄積は、圧倒的に物理領域の側に存在しているからである。


情報空間の本来の強みとは、物理領域の持つデータに接続し、そのアクセス性や属性を再編・編集したり、遠隔地に瞬間的に飛ばして共有したりできる「高度な処理基盤」として機能することにある。物理世界という豊かな価値の蓄積に対して情報空間という処理基盤を正しく接続し、双方向にデータを行き来させる接続面(接続空間)こそが、真の意味でのスマートシティのあるべき姿、その接続面の記述手法こそがコモングラウンドに他ならない。


現実空間の「モノ」から情報を抽出し、それを情報空間の特性を活かして低コストに計算・処理した上で、再び物理空間の「モノ」や「行動」へと書き戻す。この循環のサイクルが成立して初めて、新しい社会的価値がスパーク(爆発的創出)するのである。

この「コモングラウンド」という概念が名付けられた背景には、学術的な出会いがあった。豊田氏が物理空間と情報空間を結ぶ基盤の記述方法を模索していた2018年、人工知能学会の大会において、当時京都大学教授であった西田豊明先生(会話情報学)が発表した講演が直接の契機となった。


西田先生は、AIと人間が本質的な会話や相互理解を成立させるためには、直接的に言葉の意味を示す辞書的な定義だけでなく、その周囲に存在する曖昧でありながら参加者全体が広範に共有している文脈や概念基盤の記述と可読化が必要不可欠であり、この共有基盤を「コモングラウンド」と呼んでいた。この曖昧な周辺領域がデジタル化され、記述・共有できるようになって初めて、AIと人間との真の対話が可能になるという西田先生の主張に強い感銘を受けた豊田氏は、自身が抱いていた「物理空間と情報空間を結ぶ共通の記述基盤」というコンセプトにこの名称を当てはめ、空間領域へと大きく拡張・応用させたのである。


豊田氏は、物理領域から情報を抽出して情報空間へと拡張するプロセスを、歴史上の「大航海時代」になぞらえて説明する。かつてコロンブスやバスコ・ダ・ガマといった探検家たちが広大な大海原へと乗り出し、新しい大陸を発見したことで世界の経済圏が劇的に拡大した。現代においてこれと同様のアナロジーを適用しようとすれば、宇宙開発による月や火星への拡大が思い浮かぶかもしれない。しかし、物理的なエネルギー資源や人口比率を勘案すると、地球外の物理空間への急激な拡張は現実的とは言えない。21世紀における人類の真の「新大陸への拡張」とは、物理領域が情報領域へと多次元的に拡張していくプロセスそのものを指す、と豊田氏は考える。


例えば、目の前にある1個のコーヒーカップを考えてみる。このカップには、外形寸法、素材、製造メーカー、製造年月日、価格、分子構造、熱伝導率など、極めて多層的かつ無限に近い情報が含まれている。その全ての情報を完璧にデジタル化してコンピューター上に記述することは不可能である。しかし、現実的に抽出可能な情報が仮に「形状」「素材」「製造年月日」「価格」といったわずか10個のデータチャンネルに限定されていたとしても、その限定的な情報とその組み合わせがデジタルデータとして正確に抽出され、ネットワークを通じて伝達・再現・編集できるようになるだけで、モノに閉じ込められていた価値は瞬く間に解放され、横へと急速に広がっていく。


20世紀までの人類社会は、パッケージされた「カップはカップ」「建物は建物」「ロボットはロボット」というように、情報が物理的な個別体に固く閉じられた状態でしか扱えなかった。これに対して、物理世界から限定的であっても広く薄く情報を抽出し、デジタル空間上で低コストに計算し、再び新しい形で物理世界へと接続し直すことができるようになったことこそが、現代の劇的な社会の拡大点であり、21世紀の大航海時代における最大のフロンティアなのである。


図:コモングラウンドの四象限ダイアグラム


第三章:概念から実証への5年間――大阪・関西万博と「コモングラウンド・リビングラボ」の全貌

コモングラウンドの研究がスタートしてから現在に至るまで約6年が経過し、当初の概念構築や基礎研究の段階から、実際の都市や社会へと組み込んでいく「社会実装」のフェーズへと本格的に移行している。この歩みを大きく加速させた最大の契機が、2025年に開催された大阪・関西万博(日本国際博覧会)に向けた取り組みであった。


実は、コモングラウンドの概念が具体的な社会実証の場を得た原点は、万博の会場計画そのものにあった。2017年から2019年にかけて行われた万博の誘致活動において、建築家の藤本壮介氏が実際の会場設計を担当する前段階の「会場計画ディレクター」を務めていたのが豊田氏であった。豊田氏が描いた会場計画の根本コンセプトこそが、「物理空間だけでも、情報空間だけでもない、両者を高度に繋ぎ合わせる接続面としての都市の実験場=コモングラウンド」だったのである。


2019年にパリで開催された博覧会国際事務局(BIE)総会における大阪誘致のための最終プレゼンテーションにおいて、豊田氏は会場計画のプレゼンを担当し、国際社会から極めて高い評価を獲得した。この最終プレゼンテーションの場に同席していたのが、当時大阪商工会議所の頭取であり大阪ガス会長を務めていた尾崎裕氏であった。尾崎氏はコモングラウンドの理念に深く共鳴し、「この素晴らしい概念を万博に向けて大阪でぜひ実現してみせなさい」と豊田氏の背中を押した。尾崎氏の呼びかけによって大阪商工会議所を中心に財界企業や大手企業が続々と集まり、コモングラウンドの一般向け体験機会の創出と技術検証を目的とした企業グループ「コモングラウンド・リビングラボ」が大阪に設立されたのである。


図:コモングラウンド・リビングラボ(出所:https://www.cgll.osaka/aboutus/)


コモングラウンド・リビングラボは、特定の単一業界に閉じた組織ではなく、多角的な業界の企業が集う緩やかなコンソーシアムの形態をとって5年間にわたり活動を続けた。参加企業には、大手建設会社、不動産デベロッパー、ITプラットフォーム企業、通信キャリア、印刷・情報媒体企業、センサーやアクチュエータのデバイスメーカー、サービス・アプリケーション開発企業、さらには知的財産(IP)を扱う企業まで、多種多様なプレイヤーが名を連ねた。


コモングラウンドは単一のIT技術や通信規格だけでは成立せず、都市を構成するあらゆる産業層(レイヤー)が重層的に関与しなければ形にならないからこそ、このようなオープンな企業連合の形成が不可欠であったのである。東大の研究室が技術的・概念的なリードを担い、大阪の現場拠点を中心に多様な実証実験が重ねられていった。


万博の実際の開催期においては、当初構想していた「会場全体を完全にコモングラウンド化し、現地を訪れる2700万人の来場者に対してバーチャル空間から27億人がアバターやロボット、あるいは現地参加者の身体を介してリアルタイムに二人三脚のように参画する」という極限的な実装までは届かなかったものの、リビングラボの取り組みとして限定的な空間を確保し、外部会場とリアルタイムに接続した先進的な実証プログラムが展開された。


そこで提示されたのが、豊田氏らが「行為空間重畳(こういくうかんちょうじょう)」と呼ぶコモングラウンドの重要機能である。これは、異なる離れた場所にいる複数人の位置情報、身体の動作、発話内容などを環境側からリアルタイムに正確にトラッキングし、同一の空間上にデジタルに重ね合わせる技術である。この環境下では、離れた場所にいる相手であっても、後ろから話しかけられれば耳元で声が聞こえ、誰かが特定の人を指差して語りかければ、その場にいる全員が「誰が誰を指しているのか」という視線や位置関係を正確に共有することができる。万博では、この行為空間重畳の機能を一般の来場者がゲーム感覚で直感的に体験できるプログラムとして提供した。


この体験は、一般の来場者や万博を足繁く訪れる熱心な参加者たちの間で大きな反響を呼んだ。「この万博で体験したどの先端パビリオンよりも圧倒的な未来を感じた」「映画や小説で描かれていた本当の未来の世界がどのようなものか、初めて肌で理解できた」といった驚きと絶賛の声が数多く寄せられたのである。


しかし同時に、豊田氏らはこの実証を通じてコモングラウンドが抱える特有の「導入の壁」を痛感することにもなった。一般的なオンライン会議ツールであるZoomなどと何が根本的に違うのかを、言葉や2次元の映像だけで事前に説明しようとしても、その本質的な価値はほとんど伝わらない。同じ物理的・情報的文脈を空間的に共有するという身体的な体験を経て初めてその凄みが理解されるという性質があり、「いかにして多くの人々に実際に体験してもらう場を広げるか」が普及に向けた課題として浮き彫りになったのである。


第四章:社会実装の第2フェーズへ――「株式会社コモングラウンド」設立と一般社団法人化の狙い

万博という大きな目標を掲げて走ってきた最初の5年間の取り組みは、コモングラウンド・リビングラボという緩やかな企業連合を通じて目覚ましい成果を上げました。しかし、契約に基づく法的拘束力や明確な責任主体、強固な指揮系統を持たないボランティア的な有志連合のままでは、どれほど志が高くとも「本格的な事業化」や「社会インフラとしての社会実装」の壁を突破することは極めて困難であるという現実が明らかになった。


そこで万博の終了を一つの区切りとして、コモングラウンド・リビングラボを発展的に解消し、より強固な法的・経済的・技術的実行力備えた新しい体制へと進化させる改革が断行された。それが、一般社団法人としての「コモングラウンド・コンソーシアム」の立ち上げと、その核となる事業体である「株式会社コモングラウンド」の設立である。


コンソーシアムの結成に先立ち、今から約1年余り前に東大発ベンチャーとして「株式会社コモングラウンド」が設立された。同社の代表取締役には、Metaverse Japan Labの代表としてメタバースの黎明期から業界のアップダウンを熟知し、強力なビジネス推進力を持つ湯浅知英氏が就任。


この組織設計における豊田氏の狙いは、アカデミアと民間ビジネスの高度な役割分担にある。豊田氏自身は東京大学特任教授というアカデミアの立場から、全体のコンセプト設計や技術体系の構築、標準化の議論を中立的に推し進める。一方で、コモングラウンドの技術を実際の産業として根付かせるためには、民間の立場で外部からの投資を受け入れ、知的財産(IP)やコア技術の提供方法などオープン&クローズ戦略を明確にし、誰がどのような対価を支払い、どのような具体的メリットを得るのかというビジネスモデルを厳格に構築しなければならない。5年間のラボ活動を通じて感じた「大学や有志連合だけでは超えられない壁」を破るため、民間ビジネスとして独立して機能する株式会社というエンジンの存在が絶対条件となったのである。


現在設立準備が進む一般社団法人コモングラウンド・コンソーシアムには、旧リビングラボに参加していた主要企業の多くが継続して参画しているほか、昨今の物理AIや空間AIの急激な高まりを受けて、不動産、大手通信キャリア、各種ベンチャー、モビリティ、ロボティクス関連企業など、新しいプレイヤーが半数近く入れ替わる形で続々と合流している。旧ラボが培ってきた大阪の拠点や技術資産、知的財産は新コンソーシアムへと確実に継承され、より実践的な共同開発や制度設計が行われている。


さらに、コモングラウンドを体験・検証できる実証拠点(ラボネットワーク)の拡大も急速に進んでいる。例えば、渋谷にある東急の「SOIL」という施設には、コモングラウンドのプラットフォームを用いた先進的な実証環境が常設されている。ここでは東急がアリーアダプターとして先行し、自社施設内での検証にとどまらず、他企業に対しても実証実験の場を提供している。


各企業は自社専用のクローズドな環境、あるいは他社にひらかれたオープンな環境として、年度内に全国10箇所から20箇所におよぶ拠点にコモングラウンドのラボ環境を順次開設する準備を進めている。自社拠点同士を高度なネットワークで相互に接続し、自社の産業ドメイン(教育、医療、モビリティ、店舗管理等)において何が成功し何が失敗するのか、どのコア技術に自社のリソースを集中投資すべきかといった知識やノウハウを蓄積する試みが、急速な広がりを見せているのである。


図:株式会社コモングラウンドの事業内容


第五章:世間の「空間AI」と本来の「空間AI」の決定的な相違――計算資源と電力問題への処方箋

近年、生成AIや大規模言語モデル(LLM)の爆発的普及を経て、次なるフロンティアとして「フィジカルAI」「エージェントAI」、そして「空間AI(Spatial AI)」という言葉が世界中のIT業界を席巻している。しかし豊田氏は、現在一般的なAI業界やシリコンバレーで語られている空間AIの解釈と、自身らがゲームAI研究などを通じて追求してきた空間AIの考え方との間には、根本的かつ点対称とも言える決定的な構造の違いが存在すると指摘する。

現在、多くのAI研究者や巨大IT企業が語る空間AIとは、基本的に大規模言語モデル(LLM)の延長線上にある。すなわち、コンピューターや人型ロボットなどの「AIエージェントの側」に高度な脳を持たせ、カメラやセンサーを通じて周囲の3次元空間を認識・理解させようとするアプローチである。これは一見正攻法に見えますが、AIエージェント単体が完璧にスマートになり、複雑極まりない現実世界の全情報を自己の計算資源だけで処理しなければならないという「エージェント中心主義」を前提としている。


これに対して、豊田氏らが提唱する空間AIは、ゲームAIの第一人者である三宅陽一郎氏との長年の共同研究に基づくものであり、「AIが宿る場所を、エージェント側ではなく環境(空間)の側に置く」という発想の転換に基づいている。


ゲーム業界、特に大人数が同時に参加するMMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)の世界では、限られた計算資源で膨大なキャラクターや環境の相互作用を破綻なく処理するために、極めて洗練されたAIの階層構造が発達してきた。それが三宅氏の提唱するMSC-AI連携構造、すなわち「メタAI(Meta AI)」「スペーシャルAI(Spatial AI)」「キャラクターAI(Character AI)」の3階層による協調システムである。


メタAIはゲーム空間全体を俯瞰し、全体の状況バランスやイベントの発生を制御する。スペーシャルAIは特定のエリアや空間の地形、障害物、ナビゲーション情報を管理し、空間そのものが知能を持っているかのようにアクターを誘導する。そしてキャラクターAIは、個々の登場人物やモンスターの局所的な意思決定を担う。この3つのAIが階層的に連携することで、個々のキャラクターAIに過度な計算負荷をかけることなく、極めて複雑で自然な世界を描写することが可能になるのである。


豊田氏らのコモングラウンド構想は、このゲームAIで培われたMSC-AI連携の環境構築ノウハウを、そのまま現実の都市や建築といった物理空間へと適用しようとする試みに他ならない。


現実世界において、街を走る自動運転車や宅配ロボット、あるいは人型ロボットの1台1台が、全周囲の空間を自前のカメラとコンピューターだけで完璧に解析・予測しようとすれば、端末の製造コストは跳ね上がり、電力消費量は天文学的な数字に達してしまう。昨今、世界中で深刻な懸念となっているAIの爆発的な電力消費問題や計算資源の枯渇問題は、まさにこの「全ての計算をエージェント端末側に背負わせる」という誤ったアプローチに起因している部分が大きいのである。


もし都市や建築という「環境側」が記述され、環境側にセンサー、ネットワーク、計算能力、そしてスペーシャルAIやメタAIが埋め込まれていればどうなるか。環境側が全体の交通状況や物体の配置、人間の動線を捉えて空間計算を行い、その情報をエリア内の全てのロボットや人間に対してオープンに共有・提供(シェア)する仕組みを作ることができる。


これにより、環境に接続する個々のロボットや移動体は、自前のセンサーや計算装置を極限まで削ぎ落とした「極めて安価でスーパーチープな構造」であっても、環境側の知能を借りることで完璧な自動走行や高度なサービスを提供できるようになる。分散された環境側に計算能力を適材適所で持たせ、個々のエージェントと役割を分担することこそが、複雑系としての社会システム全体の計算負荷と消費電力を激減させ、安全かつ持続可能な社会実装を可能にする唯一の処方箋なのである。



第六章:コモングラウンドの技術体系(5つのフェーズ)と「ラージ・ビヘイビア・モデル(LBM)」の衝撃

コモングラウンドの研究と実装は、極めて緻密に計算された5つの発展段階(フェーズ)に体系化されている。解像度が高まるにつれて整理されてきたこの技術ロードマップは、物理空間のデジタル化から最終的な巨大人工知能モデルの創出に至る明確な道筋を示している。

フェーズ1は、基礎となる概念の構築、広範に可読・可用な空間データ記述体系の整理、および単体空間での要素技術の検証段階である。


フェーズ2は、前述した「行為空間重畳」の段階である。このフェーズではまず人間の身体構造や骨格情報(スケルトンデータ)の環境からの取得と合成および汎用データ化

に特化し、平たく言えば人気オンラインゲーム「フォートナイト」のバーチャル空間で実現されているような高度な人間同士のインタラクションを、物理的なリアル空間において汎用的にどこでも実行できるように汎用化・標準化する。


フェーズ3は、「物理エージェント共存」の段階である。行為空間重畳の基盤の上に、人間だけでなく様々なメーカーのロボット、自動運転モビリティ、各種アクチュエータなどの物理エージェントを同時に対等な存在として参加させる。環境側が提供する空間記述と計算能力をシェアすることで、多種多様なロボットやモビリティが互いに衝突することなく協調して動作する高度なスマート環境が形成される。現在、一般社団法人コモングラウンド・コンソーシアムに参画しているモビリティ企業、ロボットメーカー、通信事業者、センサー企業、不動産デベロッパーなどは、まさにこのフェーズ2およびフェーズ3の実用化と市場開拓を主眼として活発な取り組みを進めている。


そして、このロードマップの先に位置し、テクノロジーの未来に決定的なインパクトを与えると考えられているのが、フェーズ4として定義されている「ラージ・ビヘイビア・モデル(LBM:Large Behavior Model)」の創出である。コモングラウンドの技術体系における最大の核心の一つに、「ゲートウェイ」と呼ばれるデータ変換・媒介機能が存在している。一口に人体のモーションを取得し記述するといっても、センサーの仕様やアバターの仕様に応じて、その記述方法やコントロールポイントの数や位置、精度はさまざまである。コモングラウンドの環境では、それらの多様なモーション記述データからなるばらばらの生データを、ゲートウェイを通じて共通の形式へと即座に標準化し、双方向にデータ通信を行う。データ構造の標準化を個別のアプリケーションではなく「環境のインフラ側」が引き受けることこそが、コモングラウンドの最も重要な役割である。


個別の企業が自社サービス内だけでデータを集めていても、取得できるデータは限定的かつ断片的であり、形式も互換性のないフォーマットにバラバラに閉じてしまう。しかし、コモングラウンドという共通基盤が都市や施設に普及すれば、多種多様な場所で取得された人間やロボットの動線、動作、姿勢、視線、速度、発話、周囲との距離感といった「実空間における現実の行動データ」が、高度にプライバシー保護とフィルタリングを施された上で、標準化されたクリーンな形式で爆発的な量として一元的に蓄積されていくことが可能になる。


これこそが、既存の大規模言語モデル(LLM)がWeb上のテキストデータから学習したのとは対比的に、リアルな物理世界における複雑な行動パターンを学習するための巨大教師データ群、すなわち「ラージ・ビヘイビア・モデル(LBM)」となる。


現在、世界中で人間のように動くヒューマノイドロボットや高度なAIエージェントの開発が急ピッチで進められているが、最大のボトルネックとなっているのは「現実世界で人間や物体がどのようにインタラクションしているか」という精度高い行動データの圧倒的な不足である。従来のカメラ画像による動画データや、昨今取得が進んでいるウェアラブルデバイスから取得する身体の一部だけの動作データだけでは、3次元空間における正確な奥行きや力加減、身体の微細な骨格運動を再現するためのデータ精度としては不十分だからである。


かつてGoogleがインターネット黎明期において世界中のウェブサイトをクロールし、テキストデータを独占的に集積したことによって現在の巨大なAI帝国の覇権を打ち立てたのと全く同じ構造が、リアル空間の行動データにおいても発生しようとしている。標準化された高品質なリアル空間行動データ(LBM)を世界で最も早く、かつ大量に蓄積できるプラットフォームになり得るのは、コモングラウンドのようなオープンな実空間を躯体とした空間記述基盤をおいて他にない。フェーズ2やフェーズ3の社会実装を着実に進めた先には、このフェーズ4という世界規模の巨大なデータ覇権の領域を見据えた緻密な戦略デザインが組み込まれているのである。



第七章:都市の「OS」としてのコモングラウンドとキラーコンテンツの創出

コモングラウンドの本質的な役割をコンピューターの歴史に例えるならば、それは「都市や建築という物理躯体の上に載る新しいオペレーティング・システム(OS)」であると言える。

もし都市という巨大なハードウェアに対して、自動運転サービス、配送ロボット、警備システム、見守りサービス、VR/ARエンターテインメントといった個別のアプリケーションを直接個別にプログラミングして組み込もうとすれば、開発コストは天文学的に跳ね上がり、相互の互換性も失われて収集がつかなくなる。都市という具体とアプリケーションとの間に位置し、データ取得、空間計算、マルチエージェント制御のための標準化されたインターフェースを提供する「都市のOS」が存在して初めて、サードパーティの事業者は低コストかつ迅速に多彩なアプリケーションを記述できるようになるのである。


しかし、歴史上のあらゆるOSがそうであったように、どれほど優れたOSであっても、OSそのものだけではユーザーに直接的な価値を伝えることはできない。かつて初期のWindowsが普及する際に、誰もが使いたいキラーコンテンツとしてのWordやExcelといったキラーアプリケーションが抱き合わせで存在したことによって一気に市場を制覇したのと同様に、コモングラウンドという都市のOSにとっても社会に急速に浸透させるための「キラーコンテンツの創出」が急務となっている。


現在、株式会社コモングラウンドおよびコモングラウンド・コンソーシアムにおいて、様々なプレイヤーとともに探索が進められているキラーコンテンツの有力な候補領域が、遠隔行為空間重畳による「教育」「遠隔医療」「新しい働き方・移動」「エンターテインメント」、そしてそれらを通して生じる「不動産価値の再定義」である。


例えば「教育」の領域における具現化を考えてみる。従来の教育システムでは、児童や生徒は特定の学校という物理的な建物に100%身体を置かなければ公式な単位を認められなかった。しかし、コモングラウンドによる行為や身体性を基にしたマルチモーダルな

「行為空間重畳」が実現すれば、例えば東京の名門校や先進的な教育プログラムを提供する学校に在籍・参加しながら、同時に自然豊かな地方のリゾート地や過疎地域に長期間滞在し、現地の自然環境に親しみながらリアルタイムに学校のクラスメイトや教師と同一空間にいるかのような密度の高い感覚で授業を受け続けることが可能となる。


これは単なる画面越しの通信教育やグラフィックだけのメタバース授業とは全く異なり、教師や友人の視線、指差し、気配、相互の位置関係が正確に空間的に共有されるため、物理的に同じ教室にいるのと同等の学習効果と身体的コミュニティ感覚を提供することができる。


このようなサービスが実用化されれば、社会に対して劇的なインパクトをもたらす。都市部に生活や教育の基盤が集中する「一極集中」の構造を物理的に解体し、地方への多様な人口循環を自然な形で生み出すことができるようになるからである。これは不動産事業者のビジネスモデルをも根本から変革する。都市部に限定されず、郊外や地方に低利用の離散的な不動産資産(アセット)を所有している不動産企業にとって、コモングラウンドを活用した遠隔空間接続サービスは、特に地方の既存アセット価値を劇的に高め、新しい顧客層を呼び込みかつ循環させる強力な武器となるため、現在極めて高い関心と投資意欲が寄せられている。


このような社会的なキラーコンテンツを創出していく上で、豊田氏が最も強く強調するのが「自社規格によるクローズド戦略の危険性と、オープン化へのパラダイムシフト」である。

個別企業の事業判断として、最初は自社独自の規格や閉じられた(クローズドな)システムを構築し、その枠内で囲い込みを行って利益を最大化しようとすることは、ビジネスの初期段階においては合理的に見える。実際、現在の物流倉庫向け自動化ロボットシステムなどを手掛ける企業の多くは、自社システムを完全なクローズド構造に保つことで市場を独占しようとしている。


しかし、テクノロジーの歴史、特に最近のデジタルテクノロジーの盛衰史を振り返れば、どのような産業であっても一定の臨界点(閾値)を超えた瞬間に、自社規格に閉じこもるクローズドなシステムは、世界中の知恵やデバイスが自由に接続するオープンなエコシステムに優位性の維持が難しくなるという傾向が存在している。かつて建築CADソフトの世界において、各社がバラバラの独自フォーマットで囲い込みを図っていた時代から、共通のデータ互換フォーマットや標準規格が普及したことでグローバル市場全体が爆発的に拡大した歴史はその典型例である。


コモングラウンドが目指しているのは、個別の企業が一時的な囲い込みに走るのを防ぎ、業界全体が共有できるオープンな標準OS規格を打ち立てることである。もちろん、全ての技術を無償で開放するわけではない。全体のエコシステムを広げる「オープンな領域」と、株式会社コモングラウンドや参画企業が確固たる知的財産やコア技術として収益化を図る「クローズドな領域」を巧みに切り分ける高度な「オープン&クローズ戦略」を明確に描きながら、世界標準となる基盤の構築が進められているのである。



第八章:NOIZの視点から見る「建築のエージェント性」と、これからの日本に必要な「接続人材」

豊田氏の活動のもう一つの軸足である建築設計事務所NOIZでの取り組みに目を向けると、コモングラウンドという巨大な社会基盤の思想が、個別のデザインや空間表現の領域に対してどのようにフィードバックされているかが鮮明に見えてくる。


豊田氏は、従来の「建築DX」が建築業界という閉じられた狭い世界での作業効率化に留まっていたことを改めて痛烈に批判し、建築という重厚長大で変更が容易でない物理産業が持つ真の価値を外部の目線から再定義することの重要性を説く。


建築とは、ある場所に物理的に固定され、何十年、何百年という長きにわたって物質として存在し続けるものである。デジタルデータのように瞬時にコピーしたり消去したりすることはできない。しかし、この「簡単に変わらないこと」「圧倒的な物質的存在感」「土地の記憶を固く束ねていること」こそが、情報過多で流動的な現代社会において、人間が圧倒的な安心感を得て身体を委ねることができるかけがえのない価値として再浮上してきている。


そして、この固定的な物理建築に対してデジタル技術やインタラクション、そしてAIが融合したとき、建築そのものが単なる「無機質な箱(環境)」であることをやめ、あたかも意志を持って人間とコミュニケーションを行う「生命体のようなエージェント」へと変容し始める。豊田氏はこの現象を「建築のエージェント性」と表現する。


この「建築のエージェント性」という先進的な概念を世界に対して鮮烈に提示した代表的な実例が、2025年大阪・関西万博においてNOIZが手掛けたシグネチャーパビリオン「null2」だった。


図:大阪・関西万博 シグネチャーパビリオン「null2」


パビリオン「null2」において試みられたのは、人間が持つ認知の枠組みに対する果敢な挑戦であった。建物に使用されている素材や形態そのものは極めて無機質でありながら、特殊開発した柔らかい鏡面膜を導入し、そこに計算された微妙な物理的動きやデジタルなインタラクションを付与することによって、それを見た人間は嫌応なくそこに「生命のような生々しいエージェント性(存在感)」を感じ取ってしまうという空間体験が創出された。


人間は本来、自分と同等の人間や動物を「意思を持つエージェント」として認識し、壁や床といった建築・都市を「意志を持たない背景(環境)」として明確な2項対立で整理しようとする強い認知の癖を持っている。「null2」の実証実験は、物理世界とデジタル世界の境界を曖昧にするだけでなく、「無機質な環境」と「有機的なエージェント」との境界をも完璧に曖昧化させてみせたのである。


環境自体が知能を持ち、人間に対して動的に働きかけてくるという「建築のエージェント化」は、メタAIが空間に宿ったときの世界観そのものであり、今後の建築デザインや都市計画、さらにはインテリアやプロダクトデザインの領域において、全く新しい巨大な価値領域と市場を切り開く可能性を秘めている。


インタビューの締めくくりにおいて、豊田氏は自身の事務所である「NOIZ(ノイズ)」という名称に込めた根本的な思想と、激変する現代の日本社会に対する強い危機感、そして未来への期待を語った。


音楽の歴史を振り返れば、かつてクラシック音楽の時代には「雑音(ノイズ)」でしかなかった不協和音や不規則な打音、あるいは歪んだ電気音が、人間の認知の成熟と社会的な価値観の共有を経て、ジャズとなり、ロックとなり、ヒップホップやテクノという新しい音楽ジャンルへと昇華していきました。ノイズという言葉の本質とは、「現時点での既存の安定した価値体系の中では雑音にしか聞こえないが、社会の認知が成熟し価値観が共有されることで、将来的に絶大な価値へと変貌する未開拓の領域」という性質にある。


コモングラウンドの探求も、既存の安心・安全な既存の価値体系の外側にある「まだ見ぬ価値」を捉えたいという、豊田氏の強烈な原初的衝動から出発したものであった。


現在の日本社会を見渡した際、それぞれの専門分野(建築、情報科学、AI、法律、不動産、行政など)に深く特化した優秀な専門家は数多く存在している。しかし、自身の専門領域だけに閉じこもっていては、急速に変化するグローバルなテクノロジーの波の中で取り残されてしまう。重要なのは、既存の枠組みを一度飛び出し、外部からの視点を持って自らの専門性を客観的に再定義すること、そして異なる専門領域同士をデジタル技術という共通言語を用いて横断的に繋ぎ合わせることで、そこに新しい構造や関係性を見出すことである。


豊田氏は、「特定の拠点となる高い専門性を複数持ちながら、デジタル技術を武器にして領域と領域の間を自在に繋ぐ『接続人材』が圧倒的に不足している」と指摘する。単一の専門性に固執するのではなく、複数の領域の界面(インターフェース)に立ち、既存領域の外側つまりノイズの中に眠る未来の価値を見出して社会へと接続できる領域横断的な人材が数多く登場し、縦横無尽に活躍することこそが、今後の日本が再び世界をリードし、劇的な発展を遂げるための絶対的な鍵となるのである。



おわりに:物理と情報がスパークする未来の社会像

豊田啓介氏が描くコモングラウンドのビジョンは、単なる未来予測や一建築家の概念的提案の域を遥かに超え、今や具体的な企業群、アカデミア、行政、そして国際社会を巻き込んだ不可逆な社会実装の巨大な潮流へと成長を遂げている。

20世紀までの人類社会は、物理的なモノの制約に縛られ、情報は書類やファイルの中に隔離されていました。そして21世紀初頭のデジタル化の第一波は、画面の中という閉じた情報空間に閉じこもる傾向を生み出しました。しかし今、コモングラウンドという共通基盤を通じて物理領域と情報領域が高度に接合されることで、人類はモノや場所、身体性の制約を越えて、情報空間の無限の計算能力と編集可能性をリアルな都市や暮らしへと全開でフィードバックできる新しい時代の入口に立っている。


都市という巨大な躯体の上に「コモングラウンド」というオープンなOSが敷かれ、その上に教育、医療、モビリティ、コミュニティ、エンターテインメントといった多彩なキラーコンテンツが花開く未来。そこでは、人間も、AIも、ロボットも、そして都市や建築そのものもが、環境側の知能をシェアしながら互いに調和し、高密度なコミュニケーションを交わし合っている。「物理空間から情報を引き出し、情報空間で計算し、再び物理空間へと書き戻すことで価値をスパークさせる」。


豊田啓介氏とコモングラウンド・コンソーシアムが推進するこの壮大な挑戦は、日本発の新たな空間イノベーションとして、世界の都市と産業のあり方を根本から書き換えていくことであろう。

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