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AIによるドローン終末誘導: AIはどのようにドローンの戦いを変えるか(ウクライナ・ロシア戦争)
ウクライナのFPVドローンに、小さなAIモジュールが載りはじめている。操縦者が目標を指定してロックすると、そこから先、最後の400〜500メートルは機体が自分飛行していく仕組みである。手動のFPV(First Person View:操縦者がゴーグルで機体の視点を見ながら飛ばす小型攻撃ドローン)では通信を妨害されると墜落していたが、AIを搭載することで終末誘導が可能となり、目標に突入することができる。ウクライナの前線におけるAI活用に関して深堀する。 終末誘導としてのAIの活用 ウクライナ最大級のドローンメーカーの一つVyriy(ヴィリー)は、2025年9月、キーウの自律技術企業ザ・フォース・ロー(The Fourth Law)と組み、FPV機「Vyriy-10」に終末誘導モジュール「TFL-1」を積んで量産を始めた(ウクライナ・プラウダ、2025年9月15日)。別名、カミカゼドローンとも呼ばれている。 使い方は次の通りである。操縦者はこれまで通り機体を手動で飛ばし、目標を映像で見つける。目標を指定してロックすると、機体は自律モードへ切り替わり、

安田 和貴/Yasuda Kazuki
7月23日読了時間: 9分


戦果をポイントに換えて武器を買う:ウクライナのドローン生産/調達の仕組み(ウクライナ・ロシア戦争)
前線の部隊が、戦果に応じて与えられる「戦闘ポイント」で、必要なドローンを自分で発注する。ウクライナはこの仕組みを実際に動かしている。新しい機体をテストから契約まで約1週間で導入する速さも、同じ流れの一部だ。同じことに米国防総省なら数年かかる、とCSISは指摘する。「ウクライナ戦のドローン図鑑:FPV・光ファイバー・海上・迎撃」で見たとおり、ウクライナのドローンは驚くべき速さで多様化したが、速いのは機体の進化だけではない。買い方(調達)と、学び方(戦場の知見の共有)そのものが速い。その背景には、2,500社が集まる国内の生産網と、戦場の教訓を全軍に配る新設の軍種がある。 テストから契約まで1週間の調達 CSIS(米戦略国際問題研究所)のKateryna BondarとSamuel Bendettによると、ウクライナの調達は、前線に近い条件で試し、効果を確かめ、製品を選んで契約を結ぶ。この一連を約1週間で終える。両氏はこれを米国防総省(DOD)と対比しており、DODでは予算を要求する会議を誰に頼めばよいかを突き止めるだけで1週間かかり、ほぼ何をするに

安田 和貴/Yasuda Kazuki
7月22日読了時間: 8分


ドローン攻撃にどう対処するか。3層構造による対ドローン防御と進化する電子戦対策(ウクライナ・ロシア戦争)
2025年、ウクライナとロシアは互いに数百万機のドローンを飛ばし合った。ならば次の問いは、その空をどうやって守るかである。防御の中心は長らく電子戦、つまり電波妨害だった。安く、一度に多くのドローンを無力化できる手段である。ところが、この主力に穴が空きはじめた。光ファイバーと自律化が、妨害の効かないドローンを生んだからだ。守る側はいま、安い防御と高い防御のあいだで選択を迫られている。 探知・電子戦・追撃の三層構造による対ドローン防御 どれほどドローンが増えても、守り方の骨格は単純である。見つけて、妨害して、撃つ。CSIS(米戦略国際問題研究所)のKateryna BondarとSamuel Bendettは、ロシアの対ドローン防御を三つの段階として描く。まず信号探知(SIGINT/シギント/Signals Intelligence:電波を傍受して発信源を探る手法)でドローンの種類と位置を割り出し、次に電子戦(EW/Electronic warfare:電波を妨害して通信や測位を断つ戦い方)で無力化する。それでも抜けてきたものを、機関砲やネット、物理

安田 和貴/Yasuda Kazuki
7月15日読了時間: 6分


ウクライナ戦のドローン図鑑:FPV・光ファイバー・海上・迎撃
ロシアの全面侵攻が始まった2022年、戦場に一機数百ドルの小型FPVドローンが登場した。当初は少数の実験的な機体だったが、2023〜24年に大量投入され、2025年までに多様な型へと分かれた。無線妨害を受けない光ファイバー機、FPVを搭載して前線まで運ぶ母機、1,800キロ先の製油所を攻撃する長距離機、黒海で戦闘機を撃墜する海上艇。なぜ一つの機体が、これほど多くの型に分かれたのか。戦場のどんな要求が、どの型を生んだのか。用途別に整理する。 標準FPVと2つの弱点 FPV(First Person View:操縦者がゴーグルで機体の視点を見ながら飛ばす小型攻撃ドローン)は、市販の部品で組める安価な四回転翼機から始まった。CSIS(米戦略国際問題研究所)のKateryna BondarとSamuel Bendettによれば、2022年にプロペラ径18センチほどだった機体は、2024〜25年には33センチほどへと大型化し、爆弾投下型・偵察型・中継型へと用途も分かれた。単価は200〜1,000ドルである。 だが、この標準的なFPVには二つの弱点があった。

安田 和貴/Yasuda Kazuki
7月14日読了時間: 7分


ドローンが変えた消耗戦:砲兵を超えた損害と、逆転した兵器のコスト(ウクライナ・ロシア戦争)
近代の戦争で、最も多くの兵士を死傷させてきたのは砲兵だった。2025年、ウクライナの戦場で、その座がドローンに移った。しかも主役は、一機数百ドルの小型ドローンである。安く、大量に飛ばせるこの機体が、数千倍の値段の戦車や、後方のインフラまで破壊するようになった。なぜ、これほど安いものが戦場の中心になったのか。2025年にドローンが変えたものを、損害・コスト・生産という三つの面から見ていく。 戦場におけるドローンの台頭 二度の世界大戦をはじめとする近代の通常戦では、戦場で最も多くの兵士を死傷させてきたのは砲兵だとされてきた。2025年、ウクライナでこの序列が入れ替わった。 英王立防衛安全保障研究所(RUSI)のJack WatlingとNick Reynoldsは、2025年2月の現地調査にもとづき、損傷または撃破されたロシア軍装備の60〜70%がドローンによるものと推計した。RUSIはこれを、ウクライナ軍が持つ他のすべての兵器を合わせた約2倍の破壊効果にあたると表現している。ポーランドの政府系シンクタンク、東方研究センター(OSW)は2025年10

安田 和貴/Yasuda Kazuki
7月14日読了時間: 6分


防衛イノベーションの最前線:防衛省とスタートアップの連携と今後の展望(IVS2026レポート)
IVS2026下記セッションレポート 「防衛スタートアップ最前線:実際に防衛省とスタートアップは今どう連携しており、これからどう連携していけばよいのか?」 近年、防衛省とスタートアップの関係性が急速に強まっている。安全保障環境の激変と技術革新のスピードに対応するため、最先端の技術を迅速に取り入れる必要性が高まっていることがその背景にある。本記事では、IVS2026にて語られた、防衛省とスタートアップが現在どのように連携し、今後どのような課題を乗り越えてエコシステムを構築していくべきかについて、詳細な議論の内容をお届けする。 防衛分野における3つの潮流とスタートアップへの期待 現在、防衛とディープテック領域がかつてないほど注目を集めており、その背景には大きく分けて3つの潮流が存在している。 1つ目は、世界的な軍事分野における戦い方の根本的な変化である。ウクライナや中東の情勢に見られるように、無人機などを多用し、従来型のミサイルと組み合わせて運用するといった新たな戦術が現実に起きている。日本もこの変化に迅速に追随し、最新の戦い方を導入していく危機感が

安田 和貴/Yasuda Kazuki
7月7日読了時間: 9分


NATO最高司令部参謀長が語る「欧州防衛の真実」:ロシアの完全な戦争経済移行と、産業界に求められる「戦時並みの増産」(Hannover Messe2026)
ウクライナ侵攻以降、世界の地政学的なパワーバランスは劇的な変化を遂げている。こうした中、世界最大の産業見本市のセンターステージにて、NATO(北大西洋条約機構)の欧州連合軍最高司令部(SHAPE)参謀長を務めるマルクス・ラウベンタール大将(General Markus Laubenthal)が登壇した。「安全保障、防衛、産業の変革、地政学と戦略的再編」と題された基調講演では、ロシアが完全に戦争経済へと移行している衝撃的な実態や、米国から欧州への安全保障の「責任の移行」、そしてサプライチェーンを担う産業界に対して「戦時体制に近い増産(Industry Boost Close to war Footing)」を求める痛切なメッセージが発信された。本稿では、同大将の講演およびQ&Aセッションの全容から、これからの防衛産業と社会全体に求められる「レジリエンス」の正体を詳細に紐解く。 Hannover Messe2026 セッション: Deterrence, Defense, Responsibility - NATO in Focus, Europe

小宮 昌人 / Komiya Masahito
4月22日読了時間: 10分


欧州防衛産業の再構築:資金・イノベーション・速度の統合がもたらす新時代のパラダイム(Hannover Messe2026報告)
欧州の防衛産業は今、歴史的な転換点に立たされている。ウクライナ危機という現実を前に、平時を前提とした従来の硬直的な防衛調達プロセスや分断された産業基盤では、現代のハイブリッド戦に対応できないことが露呈したためだ。本稿では、欧州投資銀行(EIB)、最先端の学術機関、軍のイノベーション部門、そして欧州を代表する航空宇宙企業エアバスのキーパーソンらが集結したパネルディスカッションの議論を紐解く。欧州がいかにして「資金調達」「産学軍連携」「アジャイルな調達とスタートアップ活用」、そして「次世代システムの共同開発」を統合し、強靭な防衛産業ランドスケープを構築しようとしているのか、その詳細なロードマップを解説する。(Hannover Messe2026セッション内容より記載) Hannover Messe2026 セッション: European Defence: How we build the industrial landscape we need (欧州防衛:我々が必要とする産業構造をいかに構築するか) 登壇者: ・Dr. Michael Schöll

小宮 昌人 / Komiya Masahito
4月22日読了時間: 11分


欧州防衛産業の未来像:Airbus防衛部門トップが語る「紛争経済」への対抗策と主権的AI戦略(Hannover Messe2026報告)
はじめに:「平和の配当」の終焉と防衛産業の再定義 「長い間、防衛産業は公の場において、できれば関わりたくない厄介な客人として扱われてきた」。 ハノーバー・メッセの基調講演において、Airbus Defense and SpaceのCEOであり、ドイツ航空宇宙産業協会(BDLI)の会長も務めるMichael Schöllhorn(マイケル・シェルホルン)氏は、かつての業界の立ち位置を率直に振り返りつつ、現在の根本的なパラダイムシフトについて言及した。同氏は、Boschでのキャリアを経てAirbusのCOOを務めた後、現職に就任しており、さらにドイツ連邦軍での将校およびヘリコプターパイロットとしての軍歴を持つ人物である。 同氏によれば、欧州が長きにわたって前提としてきた、決して期限切れになることのない「平和の配当」はすでに終わりを告げている。世界は地政学的な変動と、高度に洗練された「ハイブリッド戦争」の真っ只中にある。ロシアによる執拗な偽情報キャンペーンや、イランによるAI生成のプロパガンダ動画の急増など、欧州の社会的な安定と民主的な構造への信頼を根

小宮 昌人 / Komiya Masahito
4月22日読了時間: 10分


ドイツ国防戦略の大転換:軍民融合が生み出す「1500億ユーロ」の巨大防衛市場と新たなエコシステム(Hannover Messe2026)
かつて平和と安定の象徴であった欧州の地政学的バランスが崩れる中、ドイツが歴史的な国防戦略の転換(Zeitenwende)を進めている。世界最大級の産業見本市「ハノーバーメッセ」に登壇したドイツ国防省のヘマー政務次官は、防衛予算を2029年までに1500億ユーロへと急拡大させる計画を明かし、軍事と民間産業の「融合」が国家の安全保障を担う中核であると力説した。民間の自動化技術やサプライチェーン管理能力をいかに防衛分野に統合し、新たなイノベーションを生み出すのか。そして、長年の課題であった「官僚主義」を打破し、いかにアジャイルな軍需産業を構築するのか。本稿では、同氏の講演内容から、グローバル市場における防衛産業の最新トレンドと、製造業に開かれた巨大なビジネスチャンスの全貌を詳細に紐解く。(Hannover Messe2026セッション内容より) Hannover Messe2026 内容に関するインフォグラフィック 「郷愁は戦略ではない」——むき出しの権力が支配する時代への覚醒 ハノーバーメッセの熱気の中、カナダのメラニー・ジョリー大臣やニーダーザクセ

小宮 昌人 / Komiya Masahito
4月22日読了時間: 9分
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