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防衛・宇宙テック


量子暗号をめぐる各国の動向
米国国家安全保障局(NSA)は、量子暗号の一方式であるQKD(量子鍵配送)について、国家の重要システムには使わないと明言している。一方、中国は同じ技術で総延長1万2000キロを超える通信網を実際に敷いた。北京と上海を結ぶ2000キロの基幹回線を持ち、専用の人工衛星まで打ち上げている。この記事では、量子暗号をめぐる各国の動きと、日本企業にとって何を意味するのかを整理する。 (用語の解説:PQCは「量子コンピュータでも破れない新しい数学に基づく暗号」でソフトウェアとして導入する。QKDは「物理法則を使って鍵を配る技術」で専用装置と光ファイバーが必要である。両者の詳細は別記事「注目が高まる量子暗号とは。その重要性とQKDとPQCに関する解説」で扱っている) PQCとQKDの対立と各国の動向 各国の動きは複雑に見えるが、実際には「PQCだけでいくか、QKDも併用するか」のいずれかである。米国から中国へ向かって、QKDの比重が上がっていく。 国・地域 力点 政策の方針 米国 PQC一本(QKDは政府として非推奨) PQC標準を作り、導入期限を設定 欧州(E

安田 和貴/Yasuda Kazuki
6 日前読了時間: 8分


注目が高まる量子暗号とは。その重要性とQKDとPQCに関する解説
あなたが今日送った暗号化メールは、いま盗まれても解読できない。しかし、量子コンピュータが実用化すれば、暗号を解読して中身を読める可能性がでてくる。暗号化した時点では安全でも、後から遡って破られるのである。そのため、攻撃者は今は読めないデータを量子コンピューターが実現するまで保存しておけばよい。セキュリティ業界はこれを「Harvest Now, Decrypt Later(今収穫し、後で復号する)」と呼ぶ。 量子コンピュータの実現は、専門家の見立ては2030年代半ば以降に集まるが、幅は大きく、確かなことは誰にも言えない。一方で、対策として量子コンピュータでも破れないとされる新方式の暗号が標準として確定しつつあり、量子暗号と呼ばれている。2026年6月、米国政府は量子暗号の導入期限を従来の想定から4〜5年前倒しした。連邦政府機関は2030年末までに移行を終えなければならず、政府と取引する企業にも同じ要求が及ぶ。 この記事では、量子暗号という言葉が実際には何を指しているのか、量子暗号技術の種類や各国の動向に関して解説する。 暗号の種類と量子コンピュータ

安田 和貴/Yasuda Kazuki
7 日前読了時間: 9分


AIによるドローン終末誘導: AIはどのようにドローンの戦いを変えるか(ウクライナ・ロシア戦争)
ウクライナのFPVドローンに、小さなAIモジュールが載りはじめている。操縦者が目標を指定してロックすると、そこから先、最後の400〜500メートルは機体が自分飛行していく仕組みである。手動のFPV(First Person View:操縦者がゴーグルで機体の視点を見ながら飛ばす小型攻撃ドローン)では通信を妨害されると墜落していたが、AIを搭載することで終末誘導が可能となり、目標に突入することができる。ウクライナの前線におけるAI活用に関して深堀する。 終末誘導としてのAIの活用 ウクライナ最大級のドローンメーカーの一つVyriy(ヴィリー)は、2025年9月、キーウの自律技術企業ザ・フォース・ロー(The Fourth Law)と組み、FPV機「Vyriy-10」に終末誘導モジュール「TFL-1」を積んで量産を始めた(ウクライナ・プラウダ、2025年9月15日)。別名、カミカゼドローンとも呼ばれている。 使い方は次の通りである。操縦者はこれまで通り機体を手動で飛ばし、目標を映像で見つける。目標を指定してロックすると、機体は自律モードへ切り替わり、

安田 和貴/Yasuda Kazuki
7月23日読了時間: 9分


戦果をポイントに換えて武器を買う:ウクライナのドローン生産/調達の仕組み(ウクライナ・ロシア戦争)
前線の部隊が、戦果に応じて与えられる「戦闘ポイント」で、必要なドローンを自分で発注する。ウクライナはこの仕組みを実際に動かしている。新しい機体をテストから契約まで約1週間で導入する速さも、同じ流れの一部だ。同じことに米国防総省なら数年かかる、とCSISは指摘する。「ウクライナ戦のドローン図鑑:FPV・光ファイバー・海上・迎撃」で見たとおり、ウクライナのドローンは驚くべき速さで多様化したが、速いのは機体の進化だけではない。買い方(調達)と、学び方(戦場の知見の共有)そのものが速い。その背景には、2,500社が集まる国内の生産網と、戦場の教訓を全軍に配る新設の軍種がある。 テストから契約まで1週間の調達 CSIS(米戦略国際問題研究所)のKateryna BondarとSamuel Bendettによると、ウクライナの調達は、前線に近い条件で試し、効果を確かめ、製品を選んで契約を結ぶ。この一連を約1週間で終える。両氏はこれを米国防総省(DOD)と対比しており、DODでは予算を要求する会議を誰に頼めばよいかを突き止めるだけで1週間かかり、ほぼ何をするに

安田 和貴/Yasuda Kazuki
7月22日読了時間: 8分


ドローン攻撃にどう対処するか。3層構造による対ドローン防御と進化する電子戦対策(ウクライナ・ロシア戦争)
2025年、ウクライナとロシアは互いに数百万機のドローンを飛ばし合った。ならば次の問いは、その空をどうやって守るかである。防御の中心は長らく電子戦、つまり電波妨害だった。安く、一度に多くのドローンを無力化できる手段である。ところが、この主力に穴が空きはじめた。光ファイバーと自律化が、妨害の効かないドローンを生んだからだ。守る側はいま、安い防御と高い防御のあいだで選択を迫られている。 探知・電子戦・追撃の三層構造による対ドローン防御 どれほどドローンが増えても、守り方の骨格は単純である。見つけて、妨害して、撃つ。CSIS(米戦略国際問題研究所)のKateryna BondarとSamuel Bendettは、ロシアの対ドローン防御を三つの段階として描く。まず信号探知(SIGINT/シギント/Signals Intelligence:電波を傍受して発信源を探る手法)でドローンの種類と位置を割り出し、次に電子戦(EW/Electronic warfare:電波を妨害して通信や測位を断つ戦い方)で無力化する。それでも抜けてきたものを、機関砲やネット、物理

安田 和貴/Yasuda Kazuki
7月15日読了時間: 6分


ウクライナ戦のドローン図鑑:FPV・光ファイバー・海上・迎撃
ロシアの全面侵攻が始まった2022年、戦場に一機数百ドルの小型FPVドローンが登場した。当初は少数の実験的な機体だったが、2023〜24年に大量投入され、2025年までに多様な型へと分かれた。無線妨害を受けない光ファイバー機、FPVを搭載して前線まで運ぶ母機、1,800キロ先の製油所を攻撃する長距離機、黒海で戦闘機を撃墜する海上艇。なぜ一つの機体が、これほど多くの型に分かれたのか。戦場のどんな要求が、どの型を生んだのか。用途別に整理する。 標準FPVと2つの弱点 FPV(First Person View:操縦者がゴーグルで機体の視点を見ながら飛ばす小型攻撃ドローン)は、市販の部品で組める安価な四回転翼機から始まった。CSIS(米戦略国際問題研究所)のKateryna BondarとSamuel Bendettによれば、2022年にプロペラ径18センチほどだった機体は、2024〜25年には33センチほどへと大型化し、爆弾投下型・偵察型・中継型へと用途も分かれた。単価は200〜1,000ドルである。 だが、この標準的なFPVには二つの弱点があった。

安田 和貴/Yasuda Kazuki
7月14日読了時間: 7分


ドローンが変えた消耗戦:砲兵を超えた損害と、逆転した兵器のコスト(ウクライナ・ロシア戦争)
近代の戦争で、最も多くの兵士を死傷させてきたのは砲兵だった。2025年、ウクライナの戦場で、その座がドローンに移った。しかも主役は、一機数百ドルの小型ドローンである。安く、大量に飛ばせるこの機体が、数千倍の値段の戦車や、後方のインフラまで破壊するようになった。なぜ、これほど安いものが戦場の中心になったのか。2025年にドローンが変えたものを、損害・コスト・生産という三つの面から見ていく。 戦場におけるドローンの台頭 二度の世界大戦をはじめとする近代の通常戦では、戦場で最も多くの兵士を死傷させてきたのは砲兵だとされてきた。2025年、ウクライナでこの序列が入れ替わった。 英王立防衛安全保障研究所(RUSI)のJack WatlingとNick Reynoldsは、2025年2月の現地調査にもとづき、損傷または撃破されたロシア軍装備の60〜70%がドローンによるものと推計した。RUSIはこれを、ウクライナ軍が持つ他のすべての兵器を合わせた約2倍の破壊効果にあたると表現している。ポーランドの政府系シンクタンク、東方研究センター(OSW)は2025年10

安田 和貴/Yasuda Kazuki
7月14日読了時間: 6分


防衛イノベーションの最前線:防衛省とスタートアップの連携と今後の展望(IVS2026レポート)
IVS2026下記セッションレポート 「防衛スタートアップ最前線:実際に防衛省とスタートアップは今どう連携しており、これからどう連携していけばよいのか?」 近年、防衛省とスタートアップの関係性が急速に強まっている。安全保障環境の激変と技術革新のスピードに対応するため、最先端の技術を迅速に取り入れる必要性が高まっていることがその背景にある。本記事では、IVS2026にて語られた、防衛省とスタートアップが現在どのように連携し、今後どのような課題を乗り越えてエコシステムを構築していくべきかについて、詳細な議論の内容をお届けする。 防衛分野における3つの潮流とスタートアップへの期待 現在、防衛とディープテック領域がかつてないほど注目を集めており、その背景には大きく分けて3つの潮流が存在している。 1つ目は、世界的な軍事分野における戦い方の根本的な変化である。ウクライナや中東の情勢に見られるように、無人機などを多用し、従来型のミサイルと組み合わせて運用するといった新たな戦術が現実に起きている。日本もこの変化に迅速に追随し、最新の戦い方を導入していく危機感が

安田 和貴/Yasuda Kazuki
7月7日読了時間: 9分
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